不眠が続くとどうなるの?生活習慣病のリスクを高めることも
「2(ふ)」と「3(み)」の語呂合わせから、毎月23日は「不眠の日」に制定されています。月に一度はぜひ、睡眠について振り返ってみましょう。
不眠は決して珍しいことではなく、成人の30〜40%が何らかの不眠症状に悩んでいるとされています。あなたは「眠れない」「日中の眠気がひどい」と悩んでいませんか?
もしも不眠が続いたら、身体にどんな変化が起こるのでしょうか。今回は、不眠のタイプや不眠を放置した場合どうなるのか、そして、当院が実施する不眠治療についてご紹介します。
不眠とはどういう状態のこと?4つのタイプをチェック
不眠というと、寝つきが悪い状態というイメージをもつ方が多いかもしれません。しかし、不眠は大きく4のタイプに分けられます。あなたの睡眠の悩みに当てはまるものはないか、チェックしてみましょう。
【1】入眠障害
入眠障害とは、いわゆる寝つきが悪い状態のことです。ひとつの目安として、ベッドに入って30分~1時間以上眠れないと、入眠障害の疑いがあります。入眠障害は成人の20%弱が該当するとされています。
【2】中途覚醒
中途覚醒とは、眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めてしまう状態のことです。中途覚醒は、睡眠を持続する力が低下する中高年層に多く見られる傾向にあります。
【3】早朝覚醒
早朝覚醒は「朝、この時間に起床しよう」と決めた時間よりも早くに目覚め、そのまま眠れなくなってしまう状態のことです。高齢者に多くみられる傾向にあり、中途覚醒と同じく、加齢による睡眠の変化が主な原因とされています。
【4】熟眠障害
熟眠障害とは、いわゆる眠りが浅い状態のことです。睡眠時間を十分に確保しても、ぐっすり寝たという感じがしないのが特徴です。睡眠時無呼吸症候群など、睡眠にまつわるほかの病気のサインという場合があります。
不眠が続くとどうなるの?
不眠が続くと「生活習慣病のリスクが高まる」「免疫力が低下する」「意欲や集中力が低下する」「不眠恐怖が生じる」といった悪い影響を、身体に与えるおそれがあります。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
不眠が続くと…生活習慣病のリスクが高まる
不眠による睡眠不足は、糖尿病(2型)や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病のリスクを高めるおそれがあります。
睡眠不足は、数日だけでも食欲に影響を与えます。健康な人であっても、4時間睡眠を2日間続けたら、1日10時間寝た日と比べて食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減り、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増えてしまうのです。
そのため、慢性的に不眠が続いている人は肥満になりやすく、また、糖尿病や心筋梗塞にかかりやすい傾向にあります。
ほかにも、睡眠時間が7~8時間の人は、睡眠時間が短い人と比べて肥満や高血圧症、脂質異常症のリスクが低いことが分かっています。
不眠が続くと…免疫力が低下する
ウイルスや細菌に抵抗する免疫力は、睡眠中に増える「成長ホルモン」によって維持・強化されています。また睡眠は、免疫力を働かせる役割をもつ自律神経がバランスの乱れを起こさないためにも欠かせないものです。
そのため、不眠が続くと免疫力が低下してしまうおそれがあります。
不眠が続くと…意欲や集中力が低下する
不眠によって睡眠不足の状態が続くと、脳の前頭葉がダメージを受けるとされています。その結果、意欲や集中力の低下といった不調があらわれるおそれがあります。
ほかにも、感情の制御ができなくなる、注意力や判断力が鈍るといった不調があらわれることがあります。
不眠が続く人が仕事や勉強でケアレスミスを頻発している場合は、睡眠が悪い影響を与えている可能性があると言えるでしょう。
不眠が続くと…不眠恐怖が生じる
睡眠恐怖とは「今日も眠れないかもしれない」「どうすればスムーズに入眠できたのか、分からなくなってしまった」というように、睡眠に対して恐怖心を抱くようになってしまった状態のことです。
不眠が続いて睡眠恐怖が生じると、睡眠時に緊張したり、睡眠状態について考え過ぎてしまったりして、さらに不眠が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
慢性的な不眠にお悩みの方は、豊島医院へご相談を
不眠状態にあっても「そのうち眠れるようになるだろう」「寝不足ぐらい、我慢すれば問題ない」と、あまり深く考えない人もいるかもしれません。
しかし、不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3か月以上続くと「慢性不眠症」の疑いがあります。慢性不眠症になると、医療機関での治療が必要です。慢性不眠症は、成人の約10%に該当するとされています。
また慢性的な不眠には、心不全や甲状腺機能異常、むずむず足症候群やパーキンソン病といった、さまざまな病気が関係している場合もあります。こうした点からも、睡眠に悩まれている方は、医療機関を受診することをおすすめします。
当院は不眠の根本治療につながる漢方治療を取り入れています
豊島医院では、漢方薬を使った不眠治療を行っています。睡眠薬による治療と、漢方薬による治療の違いは「不眠の根本治療につながるかどうか」です。
睡眠薬は直接的に睡眠へ誘導するため即効性がありますが、睡眠を妨げる原因を取り除くことにはつながりません。
一方、漢方薬による治療は、不安や焦りといった不眠の原因を取り除き、五臓六腑や身体を構成する「気・血・水」のバランスの乱れを治すため、不眠の根本治療につながることが期待できます。
不眠治療に用いられる漢方薬にはいくつかの種類があり、不眠のタイプや原因に応じて使い分けます。ぜひ、当院へお越しいただき、あなたに合った漢方薬で不眠治療を始めましょう。
2023年4月からは、漢方専門医が当院の新しい院長になりますので、不眠にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
不眠に悩む人は多い。放っておかずに対処しましょう
不眠症は国民病とも言われ、決して珍しい病気ではありません。しかし、不眠を軽く考えて放っておくと、日々の生活に影響を及ぼし、生活習慣病のリスクを高めるおそれがあります。
慢性的な不眠にお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。