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糖尿病予防で心がけたい、運動と食事のポイントとは?

2023年6月13日

糖尿病は生活習慣病のひとつで、その患者数は生活習慣と社会環境の変化にともなって急速に増加しています。日本の成人のうち約4~5人に1人が、糖尿病または糖尿病予備軍といわれています。

糖尿病が進行すると糖尿病性腎症や糖尿病性神経障害などの合併症を起こすことがあるため、早めに予防に取り組むことが大切です。

糖尿病予防には、運動や食事といった生活習慣の見直しが役立ちます。今回は、糖尿病予防のポイントをご紹介しましょう。

糖尿病とはどんな病気?

糖尿病は膵臓から出るホルモンのインスリンの分泌が低下したり、うまく働かなかったりすることで血液中のブドウ糖(血糖)が増える病気です。糖尿病は、大きく分けると次の3種類に分類できます。

ひとつは「1型糖尿病」です。膵臓でインスリンを作る細胞が壊れてしまうため、血糖値が高くなるので、注射でインスリンを補う治療が必須となります。

「2型糖尿病」では、生活習慣や遺伝的な影響によりインスリンが出にくくなるなどして血糖値が高くなります。治療ではインスリンなどの注射を使うほか、生活習慣の見直しも必要です。

3つ目には、妊娠中に初めて分かった、糖尿病にはなっていないが血糖値が高い状態である「妊娠糖尿病」が挙げられます。

日本人の糖尿病のほとんどは2型糖尿病

糖尿病を発症する危険因子には加齢や家族歴などがありますが、これらは変えることができません。一方で変えられる危険因子には、肥満や運動不足、食事(摂取カロリーとその内容)が挙げられます。

つまり、運動不足や食生活を見直し肥満を防ぐことが、日本人に多い2型糖尿病の予防には大切なのです。

運動による糖尿病予防のポイント

糖尿病予防で心がけたい、運動と食事のポイントとは?

インスリンの効果を高めて血糖値を下げるには、ウォーキングをはじめとした有酸素運動と筋力トレーニングが有効です。これらの運動が糖尿病予防に役立つ理由は次のとおりです。

・筋肉でブドウ糖や脂肪の消費が増えると食後の血糖上昇が改善できる
・インスリンの働きが向上する
・血液中の中性脂肪が減る

なお、運動前にはストレッチや準備体操を十分に行い、最初は軽い運動から始め、徐々に強度をあげていきましょう。

有酸素運動のポイント

運動不足の方は、今より1日1,000歩多く歩くことから目指しましょう。歩数を1,000歩増やすと、糖尿病発症を約3%減少することが期待できます。

運動に慣れてきたら、日常生活での歩行も合わせて1日1万歩を目安に歩くようにしましょう。

筋力トレーニングのポイント

足や腰、背中の大きな筋肉を中心に、全身の筋肉を使った筋力トレーニングが推奨されています。筋力トレーニングの中でも推奨されているのが、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う「レジスタンス運動」です。

たとえば、スクワットや腕立て伏せ、ダンベル運動が当てはまります。いずれも自宅で始めやすいので、ぜひ取り入れてみましょう。

運動の頻度や時間帯は?

運動の頻度は少なくとも週3日、できれば毎日やりましょう。また、筋力トレーニングは週2~3回行うことが推奨されています。運動は1週間で150分以上行うのが目安です。

運動するタイミングに決まりはありませんが、食後の血糖値が気になる方は、食後1~2時間ごろに行うとよいでしょう。

食事による糖尿病予防のポイント

糖尿病予防のためには、食べ過ぎないことや食事内容に気をつけることが大切です。食事の改善に役立つ3つのポイントをご紹介しましょう。

ゆっくり噛んで食べる

脳の満腹中枢が血糖値の上昇を感知し、満腹感を得るまでには約15~20分かかるとされています。そのため、満腹中枢が働くまでゆっくり噛んで食事を摂るようにしましょう。

ゆっくり噛んで食べるために、まずは「あと5回」多く噛むことを意識してみてください。慣れたら徐々に回数を増やしましょう。ほかにも、次のような工夫を取り入れることが効果的です。

・ひと口の量を減らす
・ながら食いをやめて食べることに集中する
・食事の時間を十分に確保する
・歯ごたえのある食材を選ぶ

野菜を積極的に摂取する

野菜は摂取カロリーが少なくてビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なので、肥満防止につながります。ぜひ、積極的に食べましょう。さらに、野菜から食べ始める「ベジファースト」を心がけると、食物繊維で満腹感を得やすくなるため、食べ過ぎ防止にも効果的です。

ただし、野菜を食べる代わりに野菜ジュースを飲むことは控えましょう。意外にも野菜ジュースには糖質が多く含まれており、血糖値を上げてしまうことがあります。また野菜ジュースは咀嚼を必要としないため、固形の野菜の代わりにはなりません。

野菜に含まれる栄養は、固形の野菜からとるようにしましょう。

GI値の低い食品を選ぶ

GI値(血糖上昇指数)とは、食後に血糖値を上げる度合いやスピードをあらわす数値です。糖尿病を予防するには、血糖値の上昇が緩やかなGI値が低い食品をなるべく選ぶようにしましょう。たとえば主食なら、白米や食パンより玄米や全粒粉パンの方がGI値は低いです。

GI値は55以下の低GI値、56~69の中GI値、70以上の高GI値に分けられます。低GI値の食品には次のようなものがあります。

・穀類…そば、スパゲッティ、押し麦など。
・野菜…葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、きのこ類など。
・果物…柿、キウイ、みかん、バナナ、いちごなど。
・乳製品…牛乳、チーズ、ヨーグルト
・その他…大豆製品(豆腐、納豆)、海藻類など。

また、糖質量が同じ食品でもGI値は異なることがあります。糖質量ばかり気にせず、GI値にも目を向けて食生活を改善しましょう。

運動や食事で糖尿病予防を心がけましょう

食生活や運動習慣を見直し、適正体重を維持することが糖尿病予防につながります。できることから少しずつ始めましょう。より自分に合った食事や運動を知りたい方や、糖尿病予備軍で不安という方は、ぜひ医療機関を受診して下さい。

豊島医院の内科では生活習慣病治療も行っており、栄養指導や運動療法などのアドバイスもいたします。地域のかかりつけ医として、どうぞお気軽にご相談ください。