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慢性胃炎の症状と原因について解説。ピロリ菌以外にも原因はある?

2023年6月11日

胃の粘膜が炎症を起こす胃炎には「急性胃炎」と「慢性胃炎」があります。急性胃炎は、ストレスや食中毒、細菌感染などが原因で起こる病気です。一方で慢性胃炎の原因は、大半がピロリ菌の長期感染とされています。

ピロリ菌という名前自体は聞いたことがあっても、どんな細菌かまではご存じない方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、慢性胃炎の症状やピロリ菌との関係について解説します。

慢性胃炎の症状

慢性胃炎の症状と原因について解説。ピロリ菌以外にも原因はある?

慢性胃炎では、次の症状があらわれることがあります。

・みぞおちの痛み
・胃部不快感
・吐き気
・空腹時や夜間の胸焼け
・食後のむかつき
・胃もたれ

いずれも慢性胃炎特有の症状ではなく、胃潰瘍をはじめとした別の病気の可能性もあるため、医師による診断を受けることが大切です。

慢性胃炎が進行すると萎縮性胃炎になることも

慢性胃炎が長期間にわたって続くと、胃粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少し、やがて粘膜が薄く変化して萎縮します。この状態を「萎縮性胃炎」といいます。

萎縮性胃炎になると、胃もたれや食欲不振といった症状があらわれることがあります。これだけだと、よくみられる胃の不快な症状だと考える方もいるかもしれません。

しかし、萎縮性胃炎は進行すると、胃がん発生のリスクをより高めるおそれがあるため、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

慢性胃炎とピロリ菌について

金属を溶かすほどの強い酸性である胃酸には、食べ物と一緒に胃に入ってきた細菌を殺菌する働きがあります。そのため、通常の細菌は胃の中で生息できません。

しかしピロリ菌は、胃の中の尿素を分解する酵素を出すことで、アルカリ性であるアンモニアのバリアを作り、胃の中でも生息できます。

ピロリ菌はどんな細菌?

ピロリ菌とは、長さは4ミクロンほどのらせん形の細菌です。正式名は「ヘリコバクター・ピロリ」といい、ヘリコとは、ヘリコプターの様ならせんや旋回を意味しています。

ピロリ菌は非常に速いスピードで胃の中を移動し、やがて胃粘膜全体に広がって炎症を起こします。そのスピードは、人間で例えると100mを5.5秒で泳ぐのに相当するとされています。

世界人口の約50%は、ピロリ菌に感染しているとされています。また、ピロリ菌に一度感染すると、自然消滅することはまれです。除菌治療を受けたり、胃粘膜の高度萎縮などの環境変化が起こったりしない限りは、感染が持続すると考えられています。

ピロリ菌に感染する原因と予防について

残念ながら、ピロリ菌に感染する原因は、はっきりとは分かっていません。しかし、いくつかの原因が考えられています。

ピロリ菌に感染する主な原因とされているのが、大人から小さい子どもへの食べ物の口移しです。ピロリ菌は、口からの侵入によって感染することが多いとされています。

大人になってからの日常生活・食生活ではピロリ菌の感染は起こりにくいと考えられています。一方で、小さい子どもは胃の中の酸性が弱いためピロリ菌が生息しやすいのです。こうしたことから、多くの人が5歳以下の幼児期にピロリ菌に感染するとされています。

衛生環境が良くなかったころは、生水が原因の感染も考えられていましたが、現代ではその可能性は低いとされています。

感染経路が分からないため予防が難しいですが、大人から子どもへの食べ物の口移しを控えることが、予防につながる可能性はあるでしょう。

ピロリ菌以外で考えられる慢性胃炎の原因

病気や薬の服用など、ピロリ菌感染以外の原因によって慢性胃炎になる場合もあります。<h3>原因【1】A型胃炎</h3>
A型胃炎とは自己免疫性胃炎のことです。自己免疫性胃炎では、免疫系の異常により壁細胞に対する自己抗体が作られて胃酸分泌が低下します。また、胃の中心部(胃体部)に高度の萎縮がみられ、胃の出口付近(前庭部)には萎縮がみられないのが特徴です。

自己免疫性胃炎になると、ビタミンB12の吸収不良などによる悪性貧血がみられるほか、指先のしびれ、歩行障害などの症状があらわれる場合があります。また、胃がんの発生リスクを高めたり、慢性甲状腺炎など他の免疫性疾患と合併したりする可能性があるため注意が必要です。

原因【2】薬剤性胃炎

薬剤性胃炎とは、薬の影響による予期しない副作用が原因で起こる胃炎のことです。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用によって、慢性胃炎になる場合があります。

非ステロイド性抗炎症薬には、ロキソプロフェンやアスピリン、イブプロフェン、インドメタシンなどがあります。いずれも頭痛や発熱、歯痛、リウマチ、外傷など、さまざまな症状や病気に用いられる薬です。心配な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

原因【3】肝硬変、腎不全など

肝硬変、腎不全などの重篤な病気によって慢性胃炎を起こす場合があります。

肝硬変は、初期には自覚症状がほとんどないものの、進行すると黄疸(皮膚が黄色くなる)や腹水による腹部膨満といった症状があらわれます。腎不全では、むくみや食欲低下のほか、皮膚が黒っぽくなるなどの症状があらわれます。

いずれの病気も早期発見・早期治療が重要ですので、不安な方は医療機関を受診しましょう。

当院ではピロリ菌の除菌治療を行っています

ピロリ菌に感染しているからといって、すべての方に症状が出るわけではありません。しかし、多くの場合は胃炎を起こすとされています。

慢性胃炎を放置していると、より症状が重い萎縮性胃炎に進行するおそれがあります。当院ではヘリコバクター・ピロリ感染症の除菌治療を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。