手足口病は大人にも感染する?感染経路や潜伏期間・症状について
手足口病とは、その名のとおり、手のひらや口の中などに水疱性の発疹がみられる急性ウイルス感染症です。5歳以下の乳幼児を中心に流行することから「子どもに感染する病気」という印象をもたれがちですが、大人も感染に注意する必要があります。
我が子が手足口病にかかり、看病していた大人も感染して、そこから広がる場合もあるのです。そこで今回は、手足口病の原因ウイルスや感染経路、潜伏期間や症状などについて解説します。
手足口病のウイルスと感染経路
手足口病の原因ウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)です。そのほか、コクサッキーウイルスA10などが原因になることもあります。 手足口病の主な感染経路は飛沫感染で、糞口感染や接触感染でうつる場合もあります。 ・飛沫感染…感染者のくしゃみや咳で飛び散ったしぶきで感染する ・糞口感染…感染者の便に含まれるウイルスが口に入って感染する ・接触感染…感染者が使ったタオルやコップに触れ、手を介して感染する
秋田県内の流行状況を確認する方法
秋田県内における手足口病の流行状況は、秋田県感染症情報センターのホームページからご確認いただけます。 一例として、2023年31週(7月31日~8月6日)の流行状況を確認した様子をご紹介します。手足口病は夏季に流行がみられるため、感染者は増加傾向にあり、大仙市では警報発令中であることが分かります。
画像引用:秋田県感染症情報センター|県内の定点当り報告数 過去20週グラフ(手足口病)
手足口病の潜伏期間と症状
手足口病の潜伏期間
手足口病の潜伏期間は3~5日くらいです。感染すると、初期症状として口の中の痛みや食欲不振があらわれます。
手足口病の症状
手足口病の主な症状は、口の中の粘膜や手のひら、足底や足背などにみられる2~3mmの水疱(水ぶくれ)と、それにともなう発疹です。水疱性発疹は肘や膝、臀部(おしり)などにも出現することがあります。 発熱は約3分の1の人にみられますが、軽度であり、38℃以下のことがほとんどです。 手足口病が重症化することはまれですが、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎などがあらわれる場合があります。特にエンテロウイルス71に感染すると、ほかのウイルスよりも中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかになっています。 下記の症状がみられた場合は重症化のおそれがあるので、すみやかに医療機関を受診してください。 ・高熱が出る、発熱が2日以上続く ・嘔吐する、吐き気がする ・頭が痛い ・視線が合わない、呼びかけに答えない ・呼吸が速くて息苦しそう ・水分が取れず、半日以上尿がでない ・ぐったりとしている……など
治るまで何日かかる?
手足口病は、安静と水分補給を心がけていれば3~7日間のうちに症状が治り、発疹も消失することがほとんどです。 しかし、手足口病が治った後も長期間にわたり糞便や唾液とともにウイルスが排泄されます。そのため症状がなくなった感染者でも、2~4週間にわたり感染源になることがあります。
手足口病は大人にもうつる
手足口病は子どもだけでなく、大人にもうつる感染症です。大人の場合、感染した子どもの飛沫を吸い込んだり、子どもが使ったタオルやおむつを触ったりしてうつる傾向があります。
大人の手足口病は、子どもより症状が重くなりやすいとされています。次の症状に多く当てはまる場合は、手足口病を疑い、早めに医療機関を受診しましょう。
・口の中が痛く、熱がある
・口内炎のようなものができている
・原因不明の発疹が手足などにみられる
・全身に倦怠感がある
・筋肉痛、関節痛がある
・悪寒がある、40℃ほどの高熱が出ている
手足口病の予防ポイント
手足口病には有効なワクチンがなく、予防できる薬もありません。一般的な予防対策としては、流水と石けんによる十分な手洗いが基本です。子どものおむつを交換した際は、より念入りに手洗いをしましょう。
タオルやコップの共用を避け、接触感染のリスクを減らすことも役に立ちます。マスクの着用は、飛沫感染のリスク低減に有効です。また、免疫力を低下させる夜更かしや暴飲暴食などを避けることも役に立つでしょう。
大人・子どもを問わず、これらの予防を心がけることが大切です。
心配な症状があるときは当院へ
手足口病には、塗り薬や飲み薬などの特別な治療方法はありません。そのため、経過観察をしつつ、刺激のないやわらかいものを食べる、疼痛には鎮痛薬を使う、などの症状に応じた治療(対症療法)を行って、自然治癒を待ちます。
当院でも対症療法のお手伝いをいたしますので、手足口病の疑いがある際は、ぜひご相談ください。
また、手足口病は発疹が出ているというだけでは学校や仕事を休む必要はない病気です。ただし、前述のとおり手足口病にかかった後は、糞便や唾液から長期間ウイルスを排泄しています。症状が軽快した後も、引き続き十分な手洗いなどを心がけましょう。
国内における手足口病流行のピークは夏季ですが、秋から冬にかけて発生することもあります。大人・子どもを問わず注意が必要な感染症なので、夏を過ぎても流行状況を確認し、予防を心がけたいですね。