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脂質異常症とは?診断基準・原因・改善法を分かりやすく簡単に解説!

2024年6月1日

脂質異常症とは、血液中の脂質の量が異常に増えた状態で「生活習慣病」のひとつです。昔は高脂血症という病名でしたが、2007年に脂質異常症へ変更されました。

脂質異常症を放っておくと、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるおそれがあります。そこで今回は、脂質異常症の診断基準や原因、改善についてわかりやすく解説します。

脂質異常症とは?診断基準について

コレステロールや中性脂肪、遊離脂肪酸など、血液中に含まれる脂質にはいくつかの種類があります。その中でも脂質異常症は、LDLコレステロールや中性脂肪が多過ぎる、あるいはHDLコレステロールが少なすぎる状態を示すことが多いです。

【LDLコレステロール】

いわゆる悪玉コレステロールです。

血管壁にコレステロールを付着させ、動脈硬化を促します

【HDLコレステロール】

いわゆる善玉コレステロールです。

余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える働きがあります。

【中性脂肪/トリグリセリド】

体脂肪の大部分を占める物質です。

エネルギー源として使われますが、余ったら体内に蓄積されてしまいます。

脂質異常症のタイプと診断基準

脂質異常症は、血液中にどの脂質が多いかによって3タイプに分けられます。

・高LDLコレステロール血症…LDLコレステロールが過剰な状態

・低HDLコレステロール血症…HDL-コレステロールが少ない状態

・高トリグリセライド血症…中性脂肪が過剰な状態

下記は、脂質異常症の診断基準です。健康診断などの数値を確認する際にご参考いただき、心配なことがあるときはかかりつけの医師へご相談ください。

脂質異常症と高脂血症の違いは?

高脂血症は、血液に含まれるコレステロールなどすべての脂質の数値が高い病気という意味で用いられていました。しかし、HDLコレステロールの数値が低いと、将来の冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳梗塞の発症リスクになることが分かりました。

そこで、「血液中の脂質のいずれかが正常値にない」という意味で脂質異常症という言葉が用いられるようになりました。

脂質異常症の症状は?

脂質異常症には自覚症状がありません。そのため、未治療のまま放置されてしまうことがあります。

脂質異常症を放置すると、血液中に余っている脂質が血管の壁に溜まり、動脈硬化が少しずつ進行します。その結果、血管が塞がって心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを突然発症させるおそれがあるので、早めの治療や生活習慣の見直しが必要です。

脂質異常症の主な原因6つ

食事や運動習慣など、脂質異常症の原因になる可能性があるものを6つ紹介します。

原因【1】食生活

食生活の欧米化にともない、脂質異常症の患者は増えているといわれています。

LDLコレステロールが増える主な原因には、肉の脂身や加工食品などに含まれる飽和脂肪酸のとりすぎが挙げられます。中性脂肪が増える主な原因には、食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎ、高カロリー食品の摂り過ぎによる慢性的なカロリー過多が挙げられています。

原因【2】運動不足

運動不足は中性脂肪を増やし、HDLコレステロールを減らす原因になることがあります。また、運動不足で体力や全身持久力が低下すると、身体活動量が減少し、動脈硬化が進みやすくなるとされています。

原因【3】肥満

食事や運動不足の影響で肥満になると、脂質異常症の原因につながることがあります。特に内臓脂肪型肥満は、LDLコレステロールや中性脂肪が増え、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があるとされています。

大人の適正な体重の目安は、下記の計算式で分かります。適正体重の範囲にない場合は、まず3%の体重減少を目標にすると良いでしょう。

・身長(m)×身長(m)×BMI(18~49歳/18.5~24.9、50~64歳/20.0~24.9、65歳以上/21.5~24.9)

原因【4】精神的ストレス

身体はストレスを受けると、それに対応するために副腎皮質から分泌されるホルモンを必要とします。LDLコレステロールは副腎皮質ホルモンの材料になるため、血液中で増加し、脂質異常症の原因になることがあります。

原因【5】遺伝の影響

遺伝の影響により、生まれつきLDLコレステロールの数値が高くなることがあります。これを「家族性高コレステロール血症」といいます。

家族性高コレステロール血症は、一般人口の300人に1人程度に認められる比較的高頻度の遺伝性疾患です。適切に治療を行わないと、若い頃から動脈硬化が進行して命に関わる病気を発症する恐れがあります。

原因【6】更年期(女性の場合)

若い年代の脂質異常症患者は、男性に多い傾向です。しかし、女性も更年期を迎える50歳前後になると、脂質異常症の方が増える傾向にあります。

更年期を迎えると、脂質の代謝にかかわる女性ホルモンのエストロゲンが減少します。そのため、LDLコレステロールや中性脂肪が増えやすくなるとされています。

食事と運動による脂質異常症の改善とは?

脂質異常症を改善するには、生活習慣の見直しが必要です。ここでは、食事と運動による4つの改善ポイントを紹介します。

【食事】脂質や炭水化物のとり過ぎに注意する

食事の改善は、洋食より和食を中心にして、脂質や炭水化物をとり過ぎないよう心がけることから始めましょう。

低脂肪食は、LDLコレステロール値を低下させるとされています。肉類を食べるときは、脂身を取り除く、脂身が少ない部位を選ぶといった工夫をするのがおすすめです。

また、低炭水化物には中性脂肪を減らすことが期待できます。ご飯、パン、麺類を食べ過ぎている方は、控えめにするようにしましょう。

間食をとる際は、1日80g(バナナ中サイズ1本)を目安にすると良いでしょう。

【食事】食物繊維をしっかり摂る

食物繊維には脂肪分の吸収を妨げ、コレステロールの排泄を促す働きがあります。野菜や海藻、きのこなどに含まれているので、日々の献立で積極的に取り入れましょう。

【運動】1日6,000~8,000歩を目標に歩く

適度な運動を習慣にすると、HDLコレステロールを増やすことが期待できます。また、肥満を改善する上でも食生活の見直しにプラスして運動をすることが大切です。

脂質異常症の改善には、1日30分以上を目安に中強度以上の有酸素運動を行うことがすすめられています。具体的にはウォーキング、速歩、水泳、エアロビクス、スロージョギング、サイクリング、ベンチステップ(踏み台昇降運動)がおすすめです。

中でも、ウォーキングは日常生活に取り入れやすい有酸素運動です。まずはウォーキングを始め、1日6,000~8,000歩を目指してみてはいかがでしょうか?

また、スクワットなどの筋力トレーニングには脂質代謝を促す働きが期待できるので、あわせて行うとより良いでしょう。

生活習慣病の治療や予防も当院にご相談を

動脈硬化や動脈硬化による病気を防ぐには、LDLコレステロールや中性脂肪を適切にコントロールする必要があります。脂質管理のための目標値は、かかりつけの医師に相談の上で設定しましょう。

食生活や運動不足を改善しても脂質が目標値に達しない場合は、お薬で治療することになります。脂質異常症の中でも次のような方は、その影響が強くあらわれるので、より積極的な治療が必要です。

・肥満者

・喫煙者

・糖尿病や高血圧の方

・動脈硬化性の病気にかかった血縁者がいる方

LDLコレステロールや中性脂肪の数値が高い、脂質異常症や脂質異常症予備軍だと健康診断で言われたことがある方は、当院までお気軽にご相談ください。

豊島医院では、生活習慣病治療をはじめとした内科の診療を行っております。生活習慣病の予防指導を行うことも可能です。地域のかかりつけ医として患者さまお一人おひとりのお悩みをお伺いいたしますので、まずは当院へお越しください。